マラソン中の糖質補給は1時間に何g?ジェルと飲料の計算例

マラソン中の糖質補給量を1時間当たりで考える自作タイトル図 ランニングの科学

マラソン中の糖質補給は、まず予想完走時間から1時間当たりの目標量を決め、ジェルと飲料の「糖質」の表示量を足して設計します。 World Athleticsの距離走向け栄養レビューでは、1〜2.5時間の競技に30〜60 g/時、2.5時間を超える競技には最大90 g/時を示しています。ただし90 g/時は全員の必須量ではありません。普段の練習で胃腸が受け付ける量から組み立てましょう。World Athleticsの研究レビューを参照しました。

まず「何時間走るか」で目標を分ける

2時間前後のランナーと4時間前後のランナーでは、補給できる時間も、携行できる量も異なります。上記レビューは競技時間によって範囲を分けています。たとえば3時間30分のマラソンで60 g/時を目標にするなら、単純計算で3.5時間×60 g/時=計210 gです。これは計画値で、スタート前の食事を含む値ではありません。最初から90 g/時を狙う必要はなく、練習での摂取量と胃腸症状に合わせて調整します。

ジェルの「1個」ではなく糖質gを数える

同じ重さのパウチでも糖質量は製品によって違います。栄養成分表示の「炭水化物」または「糖質」を確認してください。例として、糖質25 gのジェルを30分ごとに1個、スポーツ飲料から同じ30分に5 g取れれば、(25+5) g×2回=60 g/時になります。ここでの25 gと5 gは計算例で、特定製品の実測値ではありません。飲料を飲まなかった区間は、その分を加算できません。

概念図。30分ごとに糖質25 gのジェルと飲料由来5 gを取ると合計60 g毎時になる計算
概念図:製品を指定しない計算例。糖質量は実際に使う製品の表示で確認する。

計画を実際のレースに落とす3段階

  1. 予想時間を置く。3時間30分なら3.5時間。距離だけでなく、自分の予想時間で総量を見積もります。
  2. 持ち運びと給水所を確認する。ジェル7個なら25 g×7=175 g。残り35 gを飲料から取る計画なら、提供される飲料の種類と濃度、実際に飲める量まで確認します。提供量が分からないなら35 gを確実な摂取量として扱わないでください。
  3. 長い練習で試す。開始時刻、補給間隔、胃の張りや吐き気、暑さを記録し、受け付けない場合は量・濃度・間隔を見直します。レース当日に新しい高用量計画を試さないことが実務上重要です。

研究が示すこと、示さないこと

持久競技の136研究を含む2024年の系統的レビュー・メタ分析では、運動中の糖質摂取は対照群より成績改善と関連し、競技時間が長いほど効果が大きい傾向でした。一方、効果は「限界まで続ける試験」とタイムトライアルで異なり、この結果だけで個々の市民ランナーの最適なg/時を決めることはできません。原著要旨を確認できます。

ランニングに絞った2016年の批判的レビューは、研究参加者に空腹状態の若い男性が多く、女性や高齢者、食事後に走る人へ一般化しにくいと指摘しました。糖質飲料を自由摂取より増やしても、成績向上なしに胃腸不快感が増えた研究もあります。原著レビュー。したがって「多いほど速い」とは書けません。

よくある計算ミス

  • ジェルの製品重量を糖質量だと思う。必ず栄養表示のgを見る。
  • 飲料を「コップ1杯」で固定計上する。濃度と実際に飲んだ容量が分からなければ糖質量も決まりません。
  • ジェルの糖質と給水所の飲料を足し忘れる、または飲めなかった飲料まで足す。
  • 90 g/時を全員共通のノルマと解釈する。高い摂取率ほど練習での慣れと胃腸への注意が要ります。

補給のほか、ペースの乱れも後半の失速に関わります。マラソンのペース配分の記事と合わせ、最初の数kmを含むレース全体の計画にしてください。

資料確認日:2026年9月17日。計算例は筆者作成。個人の適量や消化器症状への対応を研究が一律に保証するものではありません。

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