「トレイルランナー向けおすすめアプリ10選【記録・ナビ・高低差・ルート作成】」

トレラン

Strava(ストラバ)

世界最大級のスポーツSNS:Stravaはランニングやサイクリング愛好者に人気のGPSトラッキング&コミュニティアプリです。トレイルランニングでも多くの上級者が活用しており、Ultra-Trail Mt. Fuji (UTMF)では公式にStravaと提携した企画も実施されました。例えばUTMF2022では、レース終盤の登り区間にStravaのセグメントチャレンジ「The Last Climb」が設定され、参加者がレースログをStravaにアップするとデジタルトロフィーが授与される試みが行われています 。さらにUTMFでは165kmと69kmの公式コース情報や試走コースがStrava上で公開され、累積標高やコースプロフィールを事前に確認したりGPXデータをダウンロードできるようになりました 。このように国内レースでもStravaがコース共有やモチベーションアップに活用されています。

主な機能と強み:Strava最大の特徴はセグメント機能による競争とコミュニティです。ユーザーが作成した特定区間(登り坂やトレイル区間など)のタイムを世界中のランナーと競い合うことができ、自分の順位やペース配分を知る手がかりになります。特に山岳セクションのセグメントではGPSログから高低差(累積標高)も含めた記録比較が可能で、過去の自分や他人のタイムと照らし合わせてトレーニングの進捗を測れます。またルート作成機能もあり、地図上でトレイルコースを計画しGPSウォッチに転送することもできます。2025年には地図機能が大幅強化され、買収したFATMAPの技術を統合した新しい3D地図エンジンを導入しました。これによりリアルな3D地形図や衛星画像、斜度ヒートマップなどがStravaアプリ上で利用可能です 。特に傾斜度表示(Gradientレイヤー)は0〜90度の傾斜を色分け表示し、コース上の急登・急坂を一目で把握できるためトレイルランのコース戦略立案に役立ちます。加えて夜間や曜日別のヒートマップも搭載され、過去の活動データから人気のトレイルや走行タイミングを可視化できます。

活用例と併用:Stravaは多くのGPSウォッチと連携可能で、GarminやSuuntoなどのデバイスで記録した走行データを自動的にStravaにアップロードできます。トレイルランナーの多くはGarmin ConnectやSuuntoアプリとStravaを同期設定し、日々のトレーニングログを一元管理しています。レースではウォッチで記録しつつ、Strava上で他の参加者のログを確認したり、レース後にセグメントごとの順位をチェックするといった使い方も定番です。また近年はStrava上でトレイルランニング向けクラブイベントやバーチャルレースが開催されることも増えており、仲間との交流や情報共有の場としても活用されています。総合的に、Stravaは記録管理とコミュニティ構築を両立できる定番アプリとして、中級〜上級のトレイルランナーにも欠かせない存在となっています。

YAMAP(ヤマップ)

日本発・登山地図アプリ:YAMAPは日本の山岳地帯に特化した地図GPSアプリで、電波圏外の山中でも現在地が確認できるオフライン地図機能が最大の特徴です 。事前にエリアの地形図をスマホにダウンロードしておけば、GPS測位によって圏外や機内モード中でも自分の位置と軌跡(歩いたルート)が地図上に表示されます。一般的な登山道は赤線、自分の進んだ軌跡は水色でリアルタイム表示されるため、定期的に確認することで道迷い(コースロスト)の防止に大いに役立ちます。実際、「YAMAPで現在地を確認していれば道迷いはほとんど未然に防げる」と言われており、分岐点では進行方向をコンパス表示して正しい方向へ進んでいるか確認できます。この安全面での信頼性から、トレイルランニング大会でもYAMAPが活用され始めています。

レースでの活用と機能:YAMAPは近年、トレイルラン大会主催者向けの「YAMAPトラッキングシステム」を提供しており、選手の現在位置を一括把握できる仕組みを導入しています 。このシステムはオフライン対応の大会専用地図と、選手・スタッフ全員の位置情報をリアルタイムで集約・可視化するもので、すでに30以上のレースで導入されました。大会運営側からは「選手集団のおおよそのエイド到着時刻を予測でき準備効率が上がった」「動けなくなった選手への救護出動を的確な地点から指示できた」「スイーパーやマーシャルの配置状況を見える化して効率化できた」等の高評価が上がっています。実際に国内有数のトレイルレースでも安全対策にYAMAPが一役買っており、例えば奥三河パワートレイルや北九州・平尾台トレイルランなどで選手が公式マップをYAMAPに取り込み、迷いやすい箇所で現在地確認に使うケースが報告されています。またYAMAPには標高グラフや距離表示機能もあり、画面下のバーをスワイプすれば累積標高差や経過距離、消費カロリー等をグラフ付きで確認できるため、レース中のペース配分管理にも有用です。さらに「みまもり機能」を使えば自身の現在地を家族や仲間と共有でき、万一の遭難リスクに備えることもできます。

併用パターンやコミュニティ:YAMAPはスマホアプリ単体で完結しますが、Garminウォッチと併用するユーザーも多数います。大会ではGarminやSuuntoのGPSウォッチでログを記録しつつ、スマホにYAMAP地図を表示して現在地ナビ用に携行するという二重体制を取る上級者もいます。走行データ自体は後でGPXとしてYAMAPにアップロードし活動日記を作成できるため、ウォッチで計測した詳細な心拍・ペースデータはGarmin Connect等で分析しつつ、コース軌跡や写真付きのレポートをYAMAP上で公開するといった使い分けも可能です。YAMAP上には全国の登山者・トレイルランナーの活動日記コミュニティがあり、大会の完走記や練習記録を共有する場としても賑わっています。山ごとの最新ルート状況やレビューも蓄積されているため、初めて走る山域の情報収集にも役立つでしょう。オフライン地図の安心感と国内山岳情報の豊富さで、YAMAPは日本のトレイルランナーにとって心強いナビ&記録アプリです。

Komoot(コモット)

高度なルート作成プランナー:Komootはドイツ発のルート作成・ナビゲーションアプリで、ハイキングやサイクリングで人気ですがトレイルランニングにも有用です。その最大の特徴は詳細なルート計画機能です。地図上でスタートとゴールを指定すると、登山道や林道など最適な道を自動的に繋いだルートを提案してくれます。舗装路かトレイルか、難易度や距離・高低差なども指定でき、ルートごとに路面状況や累積標高、予想所要時間まで表示してくれます [oai_citation:16‡play.google.com]。例えば「トレイルランニング」を選択すればシングルトラック主体のコースを優先し、累積標高や勾配も考慮した経路を引いてくれるので、自分で地図を睨んでコース探しをする手間が大幅に減ります。またターンバイターンの音声ナビにも対応しており、スマホをポケットに入れたままでも分岐ごとに音声案内してくれるため、複雑なトレイルでも地図を見続けずに走りに集中できます。これはロード向けのみならず登山道でも精度の高いナビが可能で、山中でスマホ画面を注視するリスクを減らせます。

オフライン対応とコミュニティ機能:Komootはオフライン地図のダウンロードにも対応しており、電波の届かない山奥でも事前に保存した詳細地図でナビが可能です [oai_citation:18‡play.google.com]。地形や地表の情報も高解像度で見やすく、ズームすれば登山道の分岐や名称も把握できます。無料プランでは初回に一地域のみマップダウンロードできますが、有料プランにすれば世界中どこでもオフライン利用できます。また、Komootにはコミュニティによる「ハイライト」機能があり、地図上に表示されるおすすめスポット(ビューポイントや山頂、名所、休憩できる店など)を参考にルートに組み込むことができます。他ユーザーがピン留めした見所を巡るコースを作れば、単なるトレーニングランも観光トレイルランのように楽しめるでしょう。自分の走ったコースを記録して写真やコメント付きで公開することもでき、Komoot上でフォロワーと交流するSNS的な使い方も可能です。

活用例と併用:Komootは特にトレーニングや遠征時のコース作りに威力を発揮します。例えば飛騨高山や信越五岳など初めて挑戦する山岳レースの練習で、未知の山域を走る場合でもKomootでスタート・ゴールを指定すれば安全な登山道を繋いだコース案をすぐに得られます。地元のトレイルランナーが投稿した「おすすめルート」を参考に、トレイルヘッドへのアクセスや途中のエイドポイント(水場や補給所になりそうな地点)も事前に把握できるでしょう。作成したルートはGPXファイルとしてエクスポート可能で、GarminやSuuntoのウォッチに取り込んでナビゲーションに利用できます。実際、Suuntoアプリとは公式連携しており、Komootで作成したルートをSuuntoアプリ経由で簡単にウォッチに同期する機能があります。GarminもConnect IQアプリを通じてKomootルートの同期が可能で、多くのユーザーがプランニングはKomoot、記録と分析はGarmin ConnectやStravaという併用パターンです。また海外レースに遠征する際も、現地で人気のトレイルコースをKomootで検索・ダウンロードしておけば安心して下見ランができます。Komootは「走りたいコースを見つけ、形にする」ための頼れるルート作成アプリとして、冒険心旺盛なトレイルランナーに支持されています。

AllTrails(オールトレイルズ)

世界最大級のトレイル検索データベース:AllTrailsはハイキングやトレイルランニング向けのコース情報プラットフォームで、世界中のトレイルを網羅しています。収録トレイル数は30万以上、コミュニティ登録者数は3000万人以上と圧倒的な規模を誇り、海外だけでなく日本国内の人気トレイルも多数掲載されています。例えば大阪・箕面の滝を巡るトレイルはAllTrails上で4.7星(123件のレビュー)と紹介されており、難易度や所要時間、走行距離などの詳細情報とともに写真付きレビューが閲覧できます※。AllTrailsの魅力は、このように世界中のユーザーが投稿したコースレビューを参考にできる点です。各トレイルのページには距離、高低差(累積標高)、ルート地図に加え、実際に歩いた・走った人々による評価コメントや写真が掲載されています。「景色が素晴らしかった」「○月は雪が残っていた」「〇〇にトイレあり」など生の声が多く、初めてのコースでも事前に様子を把握できます。

使い方と機能:AllTrailsアプリやウェブサイトでは、地域やキーワードでトレイルを検索し条件で絞り込むことができます。例えば「福岡 トレイルラン」「瀬棚 アルプス」などと検索すると、該当エリアのトレイル候補一覧が表示され、人気順や難易度順で並べ替えも可能です。各トレイルページでは地図上にコースが表示され、高低差プロファイルもグラフで確認できます。さらに「行きたい」にリスト保存したり、GPXデータをダウンロード(有料会員機能)して自分のデバイスに取り込むこともできます。オフラインマップ機能も備えており、有料プランなら圏外で地図を見ることもできます。地図はGoogleマップ風のものからトポグラフィ(地形図)表示まで切り替え可能で、周辺のトレイルとの接続関係も分かりやすいです。また、自分自身のアクティビティをAllTrailsで記録・保存し、日誌として管理することもできます。走行中に写真を撮ってアプリ内からアップロードすれば、どの地点で撮影したかが地図上にマーカー表示されるため、あとで振り返る際に便利です。

活用例と併用:AllTrailsは特に新たなトレイルの発掘に適しています。例えば旅行先で時間ができ、「近くでトレイルランできる場所はないか?」という場合にAllTrailsで検索すれば、その地域の定番コースや評価の高いルートがすぐ見つかります。そのまま地図を見ながら走ってもいいですし、GPXをGarmin Connectに取り込んでウォッチでナビすることも簡単です。海外ではメジャーなサービスなので、UTMBやWestern Statesなど海外レースのコースが公開されていたり、現地ランナーの練習コースが多数載っています。日本国内でも近年利用者が増えており、英語レビューが多い傾向ですが有益な情報源です。他のアプリとの併用としては、AllTrailsでコース選定→Garmin/Suuntoでナビ・記録→Stravaにログ共有といった流れが考えられます。AllTrails自体にも記録機能がありますが、細かな分析はGarmin ConnectやStravaに譲り、AllTrailsはあくまでコース探しとレビュー確認に特化して使うのがおすすめです。グローバルなデータベースを持つAllTrailsは、未知のトレイルに挑む際の下調べに心強い味方となるでしょう。

Gaia GPS(ガイアGPS)

本格アウトドア向けナビアプリ:Gaia GPSは登山やバックパッキング向けに支持されている高機能地図ナビアプリで、オフライン環境下での精密な地図表示とGPS追跡が強みです。国土地理院の1/25,000地形図(日本の公式地形図)にも対応しており、日本アルプスなどの細かな等高線や山小屋・水場情報までアプリ上で確認できます。複数の地図レイヤーを重ね合わせることも可能で、例えば航空写真に登山道の等高線を重ねたり、冬期用の積雪情報レイヤーで山岳の状況を把握したりと、プロ並みの分析ができます。基本的な地図とプランニング機能は無料で使えますが、豊富な地図カタログ(国毎のトポ図や航空写真、天気情報レイヤーなど)や高度な機能はプレミアム会員で利用可能です。プレミアムでは地図の事前ダウンロードが無制限となり、圏外でのナビゲーションに備えて必要な地域の地図を端末に保存しておけます。山奥の奥深くや海外のトレイル大会(例えばUTMBのようなアルプス越えコース)でも、Gaia GPSに詳細地図を入れておけば安心感が違います。

高度なルート作成・ナビ機能:Gaia GPSはルート作成機能も強力です。地図上でポイントを指示すると、登山道に沿って経路を自動スナップしてルートを描画してくれる「Snap-to-Trail」機能があり、細かな分岐が入り組んだエリアでも効率よく正確なルートプランニングができます。しかもこのスナップ機能は事前にルートデータをダウンロードしておけばオフライン環境でも利用可能で、山中で急遽別コースを計画する必要が出てもスマホ上でルート変更ができます。作成したルートはリアルタイムで距離・累積標高を計算してくれるほか、等高線図からコースの高低差を視覚的に掴むことができます。実際のナビゲーションでは、指定したルートから外れるとアラートを出す機能や、進行方向に合わせた地図回転表示など、痒い所に手が届く設計です。さらにログ記録中は自分の軌跡や速度、高度変化が記録され、終了後に総距離・獲得標高・消費カロリーなどが詳細に解析されます。総じてGaia GPSは「自分でルートを計画し、トレイルを発見し、冒険中の安全を確保したいアウトドア愛好家にとって強力なツール」と言えます。オフラインでアクセスできる多彩な地図と機能を提供してくれるので、どんな過酷な山岳レースでも頼れるパートナーとなるでしょう。

活用例と併用:Gaia GPSはプロの山岳ガイドやウルトラトレイルランナーにも利用者がいます。例えばUTMFやトルデジアンのような超長距離レースに出場する選手が、事前のコース研究にGaia GPSを使うケースがあります。スマホの大画面でコース全体を俯瞰し、主要な峠やピークの位置関係、エイド間の高低差を把握するのに適しています。地図上に自分なりのウェイポイント(「〇〇峠」「関門地点A」等)をマーキングし、それぞれの間の距離と累積標高をGaiaで測定することで、レース本番のペース配分計画に役立てることができます。またレース本番ではGarminやCorosといったウォッチでログを取りつつ、バックアップとしてGaia GPSをスマホで立ち上げておくと、万一ウォッチが故障した際にも地図ナビが続行できます。Gaia GPSは他サービスとの直接連携は少ないものの、GPXインポート/エクスポートに対応しているため、StravaやGarmin Connectとの間でデータのやりとりが可能です。例えば練習走のGPXログをGarminから出力してGaiaに読み込み、PC上の大画面で分析するといったこともできます。複雑な地形を含む冒険的コースに挑む際は、Gaia GPSの精密地図と高度なナビ機能が大きな安心材料となるでしょう。

Trailforks(トレイルフォークス)

ユーザー参加型トレイルデータバンク:Trailforksは世界中のMTB(マウンテンバイク)トレイルを中心に、ハイキングやトレランも含めた大規模なトレイルデータベース&マップアプリです。収録トレイル数は225,000本以上に及び、ユーザーがコース情報を投稿・更新し、各地域のトレイル団体が承認・管理する形で常に最新データが保たれています。日本国内のトレイルも数多く登録されており、主要な山岳レースのコースやローカルな裏山トレイルまでカバーされています。Trailforks最大の特徴は、こうした最新トレイル状況や詳細情報が集約されている点です。各トレイルのページには距離・平均所要時間・累積標高といった基本情報のほか、推奨進行方向(MTBの場合)、難易度グレーディング、現在の通行規制状況などが記載されています。さらにユーザー自身が「ツリーが倒れて通行困難」「ぬかるみあり」といったレポートを投稿でき、他の利用者はそれを見てリアルタイムなコンディションを把握可能です。例えば台風後に行く場合、Trailforksで目的のトレイルに最新の障害情報がないかチェックすると安心でしょう。

オフラインマップと便利機能:Trailforksアプリはオフライン地図に対応しており、任意の地域をダウンロードしておけば山中でも地図を閲覧できます。初回は無料で一地域のみ保存でき、それ以上は有料サブスクリプションとなりますが、Garminの一部デバイス購入者にはオフライン地域バンドルが特典提供されることもあります。地図上では現在地をGPSで表示でき、トレイル上で自分がどこにいるかを把握しながらナビゲーションできます。また走行ログを記録する機能もあり、アプリで記録開始すれば自分の軌跡を残すこともできます。特筆すべきは高度プロファイル表示で、選択したトレイルやルートの高低差グラフを閲覧できるうえ、グラフ上を指でなぞる(スクラブする)と地図上の該当地点を確認できます。これにより「この急登はどの地点か?」といった確認が容易です。またTrailforks上にはローカルユーザーが作成したカスタムルート集もあり、「○○エリアおすすめ周回コース」等をワンタップで地図に表示できます。

  • Garmin連携:GarminのサイクルコンピュータEdgeシリーズなどにはTrailforksマップがプリインストールされており、デバイス上で直接トレイルマップを参照できます 。またGarmin Connect経由でTrailforksのコースをデバイスに同期することも可能です。
  • レース活用例:海外のトレイルラン大会では事前にTrailforks上でコースが公開され、ユーザーが試走ログやセグメントタイムを共有しているケースがあります。日本国内でも有志が大会コースをTrailforksにアップしていることがあり、他の参加者がそれを参考にセグメント攻略を研究するといった使い方も考えられます。
  • Trail Karma:Trailforksには「トレイルカルマ」という寄付システムがあり、利用者がお世話になっている地域のトレイル維持団体にアプリ経由で寄付を送ることができます 。単に情報を得るだけでなくコミュニティに還元できる仕組みとして特徴的です。

Trailforksは元々MTB向け色が強いものの、トレイルデータの鮮度と細かさは群を抜いており、トレイルランナーにとっても有用です。地図データはOpenStreetMapを基にコミュニティが更新しているため、新設トレイルや通行止情報の反映が早い傾向があります。上級者であればStravaのヒートマップとTrailforksのトレイル図を併用し、未踏のルート探索に活用することもできます。走るだけでなくトレイル自体への造詣を深めたいランナーにとって、Trailforksは頼れる情報源となるでしょう。

FATMAP(ファットマップ)

3Dマップによる山岳ルート可視化:FATMAPは高精細な3D地図に特化したアプリ/プラットフォームで、元々はスキーや登山向けに開発されました。山岳地帯の地形を立体モデル上にリアルに再現し、コースを3Dフライオーバーで追体験できるのが最大の特徴です。険しい稜線や谷間のルートも、従来の2D地図では掴みづらい全体像を直感的に把握できます。例えばUTMFのコースもFATMAP上で俯瞰すれば、富士山周辺の起伏や各セクションの高低差イメージが一目瞭然です。特に斜度情報の可視化に優れ、ゲレンデのオフピステ利用を想定した傾斜角度レイヤーでは何度の傾斜がどの斜面に現れるか色分け表示できます。トレイルランナーにとっても、例えば「次の峠までの登り勾配は平均何度くらいか?」といった情報を地図で直観的に掴むのに役立ちます。

Strava統合と最新動向:FATMAPは2023年にStrava社に買収され、2024年10月をもって独立したアプリ・サイトが終了しStravaへ完全統合されました。現在ではStravaの有料会員になることで、従来FATMAPが提供していた3Dマップ機能をStravaアプリ上で利用できます。具体的にはStravaの地図タブで3Dモードを選択すると、FATMAP由来の高詳細3D地形図や冬季衛星画像が表示され、自由に視点を変えて活動ログのコースを眺めたり、計画ルートを確認したりできます。また傾斜角度レイヤーや雪面/夏道の切替など、FATMAPの特徴的機能もStrava内に順次取り込まれています 。統合前からFATMAPを愛用していたユーザーはStravaへの移行が必要になりましたが、「Flyover(フライオーバー)」機能として活動の3Dリプレイ動画を見ることができるなどメリットも増えています 。なお現時点ではStrava非会員がFATMAP機能のみ単独利用することはできません。

活用例:FATMAPはトレイルランナーにとって、主に事前のコース研究ツールとして有用です。例えば信越五岳トレイルランニングレース(110km級)の全容を3Dで俯瞰し、各セクションの山容やエイド配置を把握するといった使い方が考えられます。実際にヨーロッパの山岳レースでは、多くのトップ選手がFATMAPでコースを確認し、難所となる峠や雪渓の位置関係を頭に入れて臨んでいます。また、自分の過去の山行データをFATMAPで再生してみると、新たな気付きがあります。平面地図上では捉えきれない「ここはこんな急斜面だったのか」「この稜線は隣の谷から見るとこれほど切り立っているのか」といった立体的な感覚を得られるため、次回以降の山行計画にフィードバックできます。FATMAPは単体アプリとしては姿を消しましたが、その革新的な3D地図技術はStravaの一機能として健在であり、今後もトレイルランナーの強い味方となっていくでしょう。

Relive(リライブ)

アクティビティの3Dムービー化:Reliveはランニングやサイクリングの軌跡を元に、走ったコースを地図上で再現する3D動画を自動生成してくれるユニークなアプリです。例えばトレイルレースを完走した後、そのGPXログをReliveに読み込ませると、スタートからゴールまでの道のりを立体地図上に線で描きつつ、走行に合わせて地図が動く動画を作ってくれます。コース途中で撮った写真を挿入すれば、地図上のその地点で写真がポップアップ表示され、まるでハイライトシーンを巡る旅番組のような演出が可能です。出来上がった動画は仲間と共有したりSNSに投稿したりと、達成感を臨場感たっぷりに伝えることができます。

使い方と機能:Reliveの使用方法は簡単で、スマホのReliveアプリで記録を開始するか、他のGPSデバイスで計測したデータを自動連携させるだけです。特にGarmin ConnectやSuuntoアプリ等と連携させておくと、アクティビティ終了後に自動でReliveがデータを取得し「動画を作成しますか?」と通知が届きます。ユーザーは写真やタイトルを追加して保存するだけで、1分程度のハイライト動画が完成します。無料版でも基本的な動画は作れますが、長時間の活動(12時間超)の取り込みや、動画のHD画質出力、音楽追加などは有料のRelive Plusプラン限定です。Relive Plusでは動画生成の優先処理も受けられるため、人気大会直後でも素早くシェア可能です。なおReliveは単体のGPSトラッカーとしても機能し、アプリで「記録開始」すれば距離やペースを測りながらマップ動画用のデータを残せます。ただし一般的にはGarminやスマートウォッチで計測→Reliveで動画化という使い方が主流です。

活用例:トレイルランナーにとってReliveは、思い出の可視化とモチベーションアップに役立ちます。例えば奥三河パワートレイルや比叡山インターナショナルトレイルといった大会に出場した際、完走後にReliveでコース動画を作成すれば、自分が辿ったルートを家族や友人に臨場感たっぷりに説明できます。「この峠を越えるのが大変だった」「ここのエイドステーションでラーメンを食べた」といったエピソードも、地図動画を見せながらだと伝わりやすく、話に花が咲くでしょう。また自身の励みにもなります。動画として振り返ることで、改めて完走の達成感がよみがえり次の目標への意欲が湧くという声も多いです。トレイルランニングは景観の美しさも醍醐味ですが、Reliveなら走行中に撮った写真とともにその景色を軌跡と合わせて記録できます。数年後に見返したとき、単なる記録以上のストーリーとして蘇るでしょう。なお安全面でも、家族にRelive動画を共有すれば自分がどんな山をどんな風に走っているか理解してもらえる利点もあります。Reliveは「走った軌跡を物語にする」画期的なサービスとして、多くのアウトドア愛好家に利用されています。

Garmin Connect(ガーミンコネクト)

王道GPSウォッチ連携アプリ:Garmin ConnectはGarmin社のGPSウォッチと連動する公式スマートフォンアプリ兼ウェブプラットフォームで、トレイルランナーにも最も利用者が多いサービスです。Garminウォッチで計測した走行データ(距離・時間・標高・心拍・軌跡など)は自動的にGarmin Connectに同期され、詳細な分析や保管が行えます。高低差グラフやインタラクティブなマップ表示、ラップごとのペース解析、VO2max・トレーニング負荷評価など、ランナー向けの分析機能が充実しており、自身のコンディション管理やトレーニング計画に欠かせません。

コース機能と大会での活用:Garmin Connectにはコース作成・ナビゲーション機能も備わっており、あらかじめGPXコースをインポートしてウォッチに送信することでレースや練習でのナビに活用できます。実際、多くのトレイルランナーが大会前に公式配布のGPXをGarmin Connectにアップロードし、ウォッチにコースを転送して臨みます。これによりレース中に時計画面上で現在地や進行方向、コースから外れていないかを常時確認でき、コースロスト(道迷い)のリスクを大幅に低減できます 。Garminウォッチの上位モデルではコースから外れるとアラートが鳴る機能もあり、実際「ナビ機能はトレラン大会で必須」と語る経験者もいます。Garmin Connect上でコースを開くと、青色のラインで地図に表示されたルートに対し総距離・累積上昇量・累積下降量などの情報が確認できます 。さらに「キロメートル指標」をオンにするとコース上にキロごとのマーカーが現れ、何km地点にどのエイドがあるかひと目で把握できます。ある上級者は「この距離マーカー情報を基にレース完走に向けた戦略を考えている」と述べており、Garmin Connectのコース機能がペース配分計画にも貢献しています。

トレーニング管理と併用:Garmin Connectは単体でも強力ですが、他サービスとの連携も盛んです。特にStravaとは多くのユーザーがアカウント連携しており、Garminにデータが同期された直後に自動でStravaにもアップロードされる設定が一般的です。これにより日々の練習をGarmin Connectで詳細分析しつつ、仲間との交流やランキング競争はStravaで行うといった使い分けができます。またTrainingPeaksなど高度なトレーニング管理サービスと同期し、Garmin Connectから週次のトレーニングプランをウォッチに転送することも可能です。Garmin Connectモバイルアプリ自体にもトレーニングプラン作成機能があり、ウルトラマラソンやトレイル用のワークアウトメニューを作ってウォッチに送り込めます。さらに、Garminユーザー同士のコミュニティ機能として「Livelog配信」があります。家族や友人に事前共有しておけば、自分の現在地と軌跡をリアルタイムにオンライン地図上で追ってもらえるため、単独走の安全確保にも役立ちます。総じてGarmin Connectは、「記録する」「分析する」「計画する」「共有する」の全てを網羅した統合プラットフォームであり、Garminウォッチ愛用者にとって無くてはならない存在です。

Suunto(スント)

山岳スポーツに強いウォッチ&アプリ:Suuntoはフィンランドの老舗メーカーで、トレイルランニング用GPSウォッチでもGarminと並ぶ人気ブランドです。その公式スマホアプリ「Suunto App」は、ウォッチと連携したデータ同期・分析はもちろん、ルート計画機能にも優れています。Suunto App上で新規ルート作成やGPXインポートが可能で、作ったルートをワンタップでウォッチ本体に送信できます。例えば外部でもらった大会GPXデータをSuunto Appに取り込んで編集・短縮し、自分用にWaypoint(エイドやピークなど)を追加して保存、そのままウォッチと同期するといったことが簡単にできますす。

ルートナビ機能と大会での利点:Suuntoウォッチ(例: Suunto 9)には強力なルートナビゲーション機能が備わっており、Suunto Appで設定したコースを使って以下のことが可能です。

  • 現在、自分がコース上のどの位置にいるかウォッチ画面で確認できる
  • ゴール(目的地)までの残り距離・予想到着時間を表示できる
  • コースから外れると警告が出るので道迷いを即修正できる
  • コース全体の高低差プロファイルを確認できる
  • 事前に設定したエイドや関門などウェイポイントまでの距離・到達予想時刻も把握できる

ウォッチの画面は小さいですが、情報を必要なとき即座に確認できる利点は大きく、実際に「一度使うと手放せない」という声もあります。特に「あと何キロで次のエイドか?」が手元で分かる安心感はレース中の精神的支えとなります。Suunto Appではルート上の任意地点を長押ししてウェイポイント登録(旗マーク設置)ができ、例えば「A1エイド」「峠トップ」など名前を付けておけばウォッチ上でも残距離表示されるので、山岳レースの戦略立案・ペース配分に威力を発揮します。

人気ルート共有と他サービス連携:Suunto Appには「人気のルート」機能があり、多くのSuuntoユーザーが実際に通ったルートの中から周辺エリアで人気の高いものをリストアップして簡単に取り込むことができます。地図画面で目的の山域を表示しスワイプするだけで、ハイキング・トレランなどアクティビティ別に主要ルートが表示されるため、土地勘のない場所でも面白そうなコースを発見しやすいです。そのまま好きなルートを選んで高低図を確認し、気に入ればワンタップで保存してウォッチと同期できます。この機能のおかげで、「週末に遠出して知らない山を走りたい」といった時も安心です。またSuunto Appは他サービスとの連携面でも優秀で、StravaやTrainingPeaks、そして前述のKomootとも公式に接続できます。例えばSuuntoウォッチで記録した走行をSuunto App経由でStravaに自動同期したり、その逆にKomootで作成したルートをSuunto Appに取り込んでウォッチでナビすることも可能です。Garminに比べ国内シェアは少なめですが、独自のヒートマップ(世界中のSuuntoユーザーの移動履歴)からルート検索できる機能などもあり、「Suuntoだからこそ見える世界」があります。超長時間バッテリーを誇るSuuntoウォッチと組み合わせ、Suunto Appを活用すれば、最長クラスのウルトラトレイルでも最後まで自分の足で進むための強い味方となるでしょう。

TrailLinkは筆者が開発しているアプリで、オフラインマップの無制限保存、GPXからオフラインルートマップ作成、編集が可能で、ルートを作成してオフラインマップとして作成・保存することが可能です。

また、自分の位置情報を第三者に知らせる機能やトレランの練習会などでグループセッションを開始し、お互いの位置情報を確認し合いながら走ることも可能です。

トレイルランニング全般に強みを持っており、トレランイベント開催やレースの位置情報ライブ配信など、幅広い機能を搭載しております。

おわりに:アプリを使い分けてトレイルランニングを更に快適に

以上、2025年最新版のトレイルランニング向けおすすめアプリ10選を、国内レースでの活用例や機能面に焦点を当てて紹介しました。GPSウォッチの高度化やスマートフォンアプリの発展により、トレイルランニングにおける「迷わない安心感」「効率的なトレーニング」「思い出の共有」が飛躍的に向上しています。実際、ウルトラトレイルの完走者たちは今回挙げた複数のアプリを組み合わせて活用するケースが一般的です。

例えば「プランニング+ナビ+記録+共有」という観点では、KomootやAllTrailsで魅力的なルートを見つけ、Garmin ConnectやSuuntoでGPXをウォッチに同期して安全にナビゲーション、走行ログはStravaに同期して仲間と切磋琢磨し、Reliveで家族やSNS向けに楽しく動画共有するといった流れが可能です。それぞれのアプリが得意とする領域(地図精度、GPSナビ、高低差表示、コミュニティ機能など)を押さえて、自分のスタイルに合った組み合わせを見つけることで、トレイルランニングの体験はより充実したものになるでしょう。

中級〜上級者になればなるほど、地図読みやペース管理、そして日々の記録分析の重要性が増してきます。今回紹介したアプリ群は、そうした高度なニーズに応えてくれる強力なツールばかりです。「トレイルランニング アプリ」の活用は、単に便利さを追求するだけでなく、山を走る安全性と楽しさを両立させ、自身の可能性を広げてくれるはずです。ぜひ積極的に取り入れて、次回のトレイルランをさらに充実したものにしてください。
(※各種アプリの機能・対応デバイスは2025年6月時点の情報です)

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